国際2026-09-22約5分
海外からの見学者が、教えてくれること
文・富田 大介(設立発起人・矯正歯科医)
この夏、南青山の診療現場で、トルコの歯学部生をはじめ海外からの見学者を受け入れてきました。印象に残っているのは、診療の合間に廊下で受けた質問です。なぜ日本の診療はここまで記録を取るのか。なぜ初診にこれほど時間をかけるのか。なぜ滅菌の動線がこう設計されているのか。
見学は一方通行ではありません。見学者がどこで立ち止まり、何に驚くか。それは、私たちが「当たり前」だと思って言語化してこなかった暗黙知の在り処を、正確に教えてくれます。問診の順序、記録の粒度、患者さんへの説明の仕方。外の目に映って初めて、日々の運用が「設計」として輪郭を持ちます。教材は、教科書ではなく現場に埋まっている。受け入れるたびにそう思います。
アカデミーの第1弾を講義ではなく見学プログラムにしたのは、この実感があったからです。教壇から話すより先に、現場を開く。受け入れを月10名までに絞っているのは、診療への影響を避けるためであると同時に、この対話の密度を守るためでもあります。人数を増やせば売上は伸びますが、廊下の質問は消えます。
条件が整えば手術見学も組み込みますが、見学者が手術室で見ているのは、実は術式そのものではありません。チームの動き方、準備の仕方、声の掛け方。国や制度が違っても持ち帰れるのは、technique ではなく operation の部分です。だから私たちは、見学の最終日に「自国で何を変えるか」の実装メモを書いてもらいます。
その実装メモの先を追いかけること——帰国した見学者が半年後に何を変えたか——が、このアカデミーにとっての研究になります。2026年10月に正式開講します。ドアは開いています。
Mirise Global Academy — 学術ノート
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