なぜ東京ではなく、大磯なのか
文・富田 大介(設立発起人・矯正歯科医)
「キャンパスはなぜ都心にないのですか」。この質問はよく受けますし、まっとうな質問だと思います。教育事業の定石で言えば、駅前の貸会議室がいちばん集客しやすい。私たちはその定石を知ったうえで、東京から約1時間の大磯を選びました。
理由は、私たちの教育の中核が「滞在」だからです。数時間の講義を聞いて帰るのと、数日間生活を共にしながら学ぶのとでは、身につくものが違います。とくに海外からの研修医・研究者を受け入れる国際プログラムでは、講義室の外——夕食の席、海沿いの散歩、夜更けの症例談義——で起きる対話が、カリキュラムと同じくらい重要です。これは都心のビルの一室では設計できません。
大磯という土地の具体的な条件も述べておきます。東京駅から在来線で約1時間、羽田空港からも半日仕事にならない距離。目の前に海、背後に山。明治期から政財界人が居を構えた保養地としての歴史があり、「集中して考えるための場所」としての蓄積があります。研修で数日を過ごす場所として、これ以上の条件はなかなかありません。
経営面の正直な話もします。都心の賃料で宿泊滞在型の教育をやれば、コストはそのまま受講料に跳ね返ります。私たちは価格を公開する方針なので、これは隠せない問題です。大磯であれば、講義・実習・宿泊・食事を一体で設計しても、専門職が自費で払える価格帯に収まる。教育を事業として成立させるという私たちの原則と、立地の選択は直結しています。
都心を捨てたわけではありません。臨床実装の拠点は南青山にあり、患者さんと向き合う現場はそこにあります。学びと静けさは大磯に、臨床と実装は南青山に。2つの拠点を約1時間で行き来できることが、この設計の要です。
Mirise Global Academy — 学術ノート
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